お盆前 クーラーに敗北 美しい夏の夜
お盆目前だというのに棚経の案内も終わっていない…
自分の事務能力の無さに少々自信喪失中。
なんとか明日にも全ての準備が終わる…はず。
夏休みの終わりになって半分泣きながら宿題をやっていた子供の頃と…
…あんまり進歩が無い。
時々、その事実に愕然とする。
7月28日は毎年、地元の信者さんが庫裏で会食される。
去年あまりにも暑かったので、今年は思い切って庫裏の座敷にクーラーを設置した。
会食に備えて、初めて本格的にクーラーを始動。
まもなく1人の信者さんが
「御住職、クーラーのカバーが開いたままですよ!」
と教えてくれた。
横から見ると、クーラーの上部が開いている。
私は正面に立っていたので気がつかなかったのだ。
慌てて脚立を持ってきてクーラーの上部を押さえた。
ちょうど車の後部ドアが開くように持ちあがっている。
いくら押さえても押さえても閉まらない。
「エイッ!エイッ!」と気合をいれて何度も力まかせに押さえるが閉まらない…
取り合えず吹き出し口から冷風が出ているのでそのままにしていたが、翌日見ると、開いていた部分が締まっていた。きっとどなたか信者さんが閉めてくれたにちがいないが、もしかしたら欠陥商品か…
念の為説明書を読むと…一同が「開きっぱなしのクーラーのカバー」だと思ったのは“可動パネル”という名称の装置で、クーラーを動かすと自動的に開閉して冷気を広範に散布するのだという。つまり冷気の吹き出し口が2カ所あるということらしい。
…どうみてもクーラーのカバーが開きっぱなしに見えたんですけど…
最近の家電はなかなか手ごわいのである。
昨日は珍しく、夜中に眼が覚めた。
お盆のことなど考えだしたら余計眠れなくなって、心を落ちつけるために座を組んだ。
小さなロウソクを灯して、その灯りの前で座った。
半眼になって座り、小さな炎を見ていると心が落ち着いた。
いろんなことが心に浮かんでは消えた。
嬉しかったこと、哀しかったこと、最近亡くなった方のこと。
縁側は夕方の西日が射すと40度近い高温になるが、深夜にはとても涼しい心地よい風が吹いてくる。
網戸を通して部屋に吹く風がことの他気持ち良い。
庫裏に設置したクーラーは好評だが、深夜から早朝に山から吹き下ろしてくる冷気を肌に受け止めると、クーラーの冷気というのものがとても人工的なものだと実感された。
丁度、灯油のボイラーのお湯と薪で沸かしたお風呂の違いのようなものかもしれない。
全く違うのである。
肌を包むような湿度、緑の気配、そしてもっと違う何かが混然となって風の中に混じっている。
昨日は少し身体が熱を帯びていたせいか、ことのほか夜の冷気が心地良かった。
座を組んだまま、冷気に打たれていると、気持ちいいという感覚が後から後から湧いてきた。
「…気持ちいいな…気持ちいいな…気持ちいいな…気持ちいい…」
時々、羽音が聞こえた。蝉のようだった。微かにクツワムシやキリギリスの声が聞こえた。
冷気を浴びて、虫の声に耳を澄ませていると秋を感じた。
ロウソクが燃え尽きそうになる度に新しいロウソクに替えた。
気がつくと4時を回っていた。
空が明るむと一斉に蝉が鳴き始め、他の微かな虫の声はかき消されてしまった。
蝉の声を聴いていると、溢れかえるような生命感と、儚い寂さ、無常感を同時に感じて嬉しいような、哀しいような気持ちになった。
それから横になって1時間ほど眠った。
僅かな時間しか眠っていないはずだがとても素晴らしい眼覚めだった。
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