浦西の日 「零戦の真実」と日本の病

浦西(うらにし)とは秋から冬にかけて吹く北西の風のことで、そこから変わりやすい山陰の天気をさして浦西とよぶことも多い。


本日など典型的な浦西であろう。

朝、土砂降りの雨の音で眼を覚ました。

本日は由良の如意寺というお寺で新住職の入寺慶讃法要があるのだが、大切な法要の日に雨とは…雨音に少し気分が沈んだ。


如意寺までは車で小一時間である。
27号線を辿ると由良川の川筋にでる。
川筋に沿う道路を走ると、もう風景が違って見える。
どことは無しにのどかな空気になる。


昼前に入寺式が始まる直前に急に明るい陽射しが見え始めた。
新住職の前途を祝しているようで嬉しくなった。


由良は静かだが風光明媚な場所である。
だが、地元の方に伺うと人口の4割以上が65歳以上であり、この割合が5割を超えると限界集落に入るのだと言う。



この辺りはミカンの名産地で、車で走っていると黄色く熟した実を沢山付けたミカンの木をよく見かけた。

最近、由良のミカンが最評価されているという。

和歌山などのいわゆるミカンの名産地のミカンが甘さを追及して居るのに対し、この地のミカンは昔ながらの酸味があり、味が深いのだという。

車路の脇に何軒もミカンの直売所があった。私はミカンが好きななので帰りに一袋買った。爽やかな良い味のミカンだった。


山寺に帰ると、空は陰鬱な色で雨が降り続いた。

時々雨が止んで一瞬、もみじ葉が明るく照らし出されるが、すぐに空が陰った。時に陽が射したまま雨が降る。
雨が切れて陽の射した一瞬は神々しいような気配がするのだが、雨に打たれた参拝者は、皆うつむき加減で、景色に心を向ける余裕も無いようだった。


零戦の真実 (講談社+α文庫)

零戦の真実 (講談社+α文庫)

坂井三郎さんの「零戦の真実」をパラ読み。

数々の武勇談が披歴されているにとどまらず、日本軍の日常生活、名機零戦の詳細な評価
日本軍のシステムそのものへの批判や提言もあって読み応えがある。
文章は平易でユーモアに富む。



日本軍の愚かさとして語り継がれていることは実は日本軍というより日本人そのものの悪処ではないか…という感想が湧いた。
現在の日本の混迷を見ると、坂井氏が日本軍の悪弊と痛罵されている事実と余りにも符合していることが多い。考えさせられる点である。


坂井氏はアメリカの飛行訓練場を訪れて基地の広大さ、設備や資材の豊富さに圧倒されたという。
日本軍が松根油まで頼ったのに対し、浴びるほどガソリンを使用した飛行訓練ができるという。


アメリカの飛行訓練基地は晴天率が圧倒的に高く、雨は僅かしか降らないそうである。
(日本では飛行訓練が可能だったのが週に4日程だったという)


当地は雨が多い。
一年のうち僅かな日数しか雨が降らないというような生活を一度体験してみたいものである。


名俳句一〇〇〇 (ぶんりき文庫)

名俳句一〇〇〇 (ぶんりき文庫)


うしろすがたのしぐれてゆくか  種田山頭火
落葉落ちかさなりて雨雨をうつ  加藤暁台
村々のその寺木々の秋の暮    鷹羽狩行


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