仏教入門の書  お釈迦様の人生相談

  




仏教入門

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仏教要語の基礎知識

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友人から仏教入門書について質問を受けたので2冊推薦した。

但し…

仏教系の大学の基礎講義レベルの本なので「ちょっと仏教に関心がある」という方にはかなり歯ごたえがある。
仏教について書かれた本を読むときに、辞書的に座右に備えるには非常に良いと思います。




相変わらず、京都や仏像、神社仏閣をテーマにした書籍や雑誌をよく見かける。


最近はそれらに加えてお釈迦様や原始仏教に関するものが多い。






お釈迦様が様々な人生の苦悩について問いを投げかけられたとすると、
お釈迦様の究極の答えは「出家しなさい」というものであった。


実際、いろんな仏典にはお釈迦様の教化を受けて出家する無数の人々の姿が描かれている。



出家者はあらゆる職業、階層に及び王族から賤民にまで及んでいる。


出家すれば家族問題も人間関係も仕事の問題も瞬時に解決してしまう。
出家することは人生の苦悩を解決する究極の方法かもしれない。



お釈迦様は釈迦族という一族の出身である。


お釈迦様は各地を回って教えを説かれた。


当然、自分の出自である釈迦族に対しても布教される。


釈迦一族からは出家するものが続出し、なかでも優秀な人材はどんどん仏弟子となった。


その結果どうなったかというと、釈迦族はマガダ国という強国の攻撃にあって滅亡してしまうのである。釈迦族に遺恨を持つマガダ国の王によって釈迦族は皆殺しにされたと伝えられる。


釈迦族の優秀な人材が仏弟子になったために釈迦族の軍隊が脆弱化したと説く人もいる。



出家するとはあらゆる生産活動から離れることである。


日本ならお坊さんが自分で畑を耕して野菜など作っている…などと聞くと大変良い印象を受けるが、お釈迦様の基準からはこれももちろん不可である。


一切の生産活動を離れる結果、食事は托鉢に寄ることになる。


考えてみると社会の優秀な人材が一切の生産や流通を離れたら、国家をとしては大変に大きな損失となることは明らかだろう。


そのことは仏教がインドで衰退していったこと、大乗仏教という新しい運動がおきて在家、つまり出家しない人々を重視した仏教が台頭する一因となったと考えられる。



精神的に素晴らしい文化を築くだけでなく、物質的にも豊かな世界にしないといけないというのは仏教の大きな課題だろうと思っている。




インドで衰退した仏教はチベットに伝えられ、大変な隆盛をみる。
チベット人というのは大変に敬虔で信仰心の厚い人々であった。
だが中国のチベット侵攻によってチベットという国家は衰亡の危機にある。
このことは釈迦族はマガダ国に滅ぼされたことを彷彿とさせる。


どれほど敬虔であっても現実の社会を発展させられなければ信仰そのものも維持できなくなる。
世界は異なる価値観や宗教が分立せざるを得ない以上、政治や軍事や経済といった現実的な力というものは決しておろそかにできないことになる。


そんなことを考えると昨今のお釈迦様や原始仏教のブームはちょっと危ういと感じることがある。



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