棚経と遺伝子 住職、子供を驚かす
棚経が終わってまだ2日しかたっていないのだが、なんだか遥か昔のようである…
棚経で嬉しいことのひとつは家族揃ってお経を聞いてもらえることである。
お経を終えて振り向くと、お年寄りも帰省した子供さんやお孫さんも神妙な顔をしてお経を聞いている…そんな光景が好きである。
あるお宅でやはり大勢の御家族でお経を聞いて下さった。
「一番嬉しいのは御家族みんなでお経を聞いて貰えることですね」と言ってから
「二番目に嬉しいのはクーラーあることですね」と言ったらちょっとウケた…
家族が揃っていると、親子で鼻の形がそっくりだったり、姉妹で容姿がそっくりだったりするのが面白い。遺伝子は偉大である。
一番びっくりしたのは、大柄で、筋肉質で無骨な感じの檀家さんのお宅で読経した時に、帰省した息子さんがお茶を持ってきてくれたのだが、ものすごくスリムで爽やかなイケメン君だったので二人のギャップに吹き出しそうになった…
施餓鬼というのは大変に大切な行事であると思う。
だがその由来や功徳を簡単に説明するのは難しい。
施餓鬼について釈尊の高弟であった阿難、目連が施餓鬼の功徳によって大きな功徳を得ることが経典に書かれている。
阿難と目連の故事は似て非なる部分があるので、一口で説明することが難しいのである。
初盆の供養のために普段、お寺に来ない親族の方も来られることがある。
観音寺の施餓鬼には珍しいことに10人近くに子供が来ていた。
こんなに沢山の子供が来るのは余りないことである。
施餓鬼では水向けといって参加者がしきみの葉を水に浸して降りかける作法をする。
このことを説明するのに「地獄に落ちると、口から火を吐いてものが食べられなくなるので、その火を消す…」と説明した。
厳密にはこの説明は間違いなのだが、「餓鬼道」などと言っても子供には分からなそうだったので餓鬼道を地獄と言い変えたり、阿難、目連の故事をいっしょくたに説明した形になった。
「地獄に落ちると口から火を吐いてものが食べられなくなる…」と言った瞬間、一人の子供が…
「ええっ!」
ものすごく大きな叫び声を出した。
「地獄」とか「口から火を吐いて」と言ったのがよほどびっくりしたらしい。
かなりナイスなリアクションだった(笑)
子供の時にお寺で法要に参加するという体験は貴重なものではないかと思う。
その体験のなかで何かを感じてくれれば嬉しいと思う。
すず風や 力いっぱい きりぎりす 小林一茶
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