舞鶴どぶろく特区 「金属と日本人の歴史」
昨日より天候崩れる。
気温がそれほど下がらないので、寒々した感じではなく穏やかな、しっとりとした雨である。
少し前に反省会をすることになり地元の「どぶろくベぇー」(五条大門南)というお店にでかけた。
このお店は「農民居酒屋」をうたっておられて、野菜も自家製にこだわるなど他では味わえない料理を堪能させて頂いた。
驚いたのはこのお店がどぶろくを自家製しているということ。
…実は舞鶴は「舞鶴はどぶろく特区」に認定されているのだそうだ。
「どぶろく特区」というのは一定の条件をクリアすれば酒税法では認められないどぶろくの製造・販売ができるのだという。
京都府下では大江町、京丹後市などが「どぶろく特区」に認定されているらしい。
平成13年からどぶろくの製造免許に関する規制緩和がはじまり、全国では80あまりの「どぶろく特区」が生まれている。
かっては200万戸もの稲作農家が自家製のどぶろくを作っていたという。
どぶろくは米と麹から作れるのだから稲作農家が造酒するのは当然だろう。
少し前から甘酒に凝って殆ど毎日のように市販や自家製の甘酒を飲んでいる。
成分的にはどぶろくは甘酒にかなり近いものらしい。
そもそも酒税法が正しいかというと農家が自家製のどぶろくを作るのまでを規制するのはやはりいきすぎの感がある。
日本の法律というのは無理無駄が多いし、日本人の気質として一旦法律ができるとそれに縛られて、悪い意味での遵法意識である。
別の見方からすると人間としての器がどんどん小さくなってしまうということである。
どぶろく特区の認定を受けても自由にどぶろくが作れるわけではなく、醸造場所が特区内にないといけないとか、原料の米は自分で作らなければならないとか、どぶろくを提供する民宿や飲食業もあわせて営まなくてはならない…などなど特区に認定されたからといって自由にどぶろくを作ることはできないらしい。
どぶろくを飲んだら肌が綺麗になったとか、体調が良くなったという人は結構多いらしい。
甘酒は飲む点滴と呼ばれるくらい高栄養であり、発酵過程で数百もの生成物が生まれる。
私自身、甘酒を飲み始めてかなり身体の代謝が改善した感覚がある。
舞鶴の地域起こしもなかなか良い材料が無いが、どぶろくが身体にいいというのをもっと前面に打ち出して、地域おこしの糧にしてはどうかと思う。
- 作者: 桶谷繁雄
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/07/11
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しばらく前に仏像が樹から作られることに触れて、木の持つ聖性を崇敬することと宗教としての仏菩薩への信仰とが重なっているのではないかと書いた。
日本へ最初にもたらされた仏像は金銅製であったらしい。
552年に百済から金銅製の仏像がもたらされたと「日本書記」にある。
往時の日本人はそのきらきらしい容貌にいたく感銘を受けたようである。
金属は日常欠くことのでいない存在であるが、あくまで鉱物資源であり、工業材料でしかないが、古代の日本人にとっては日常に無い不思議な輝きをもつ金属は大変に特別な存在だったのだろう。
日本人が金属自体にも格別な聖性を感じたとしても不思議ではないだろう。
金属資源というのは貴重極まりない存在であったようだ。
例えば701年に対馬で金が発見されたことにちなんで「大宝」という年号が作られ、708年に秩父で銅が発見されたことにちなんで「和銅」という年号が作られた。
対馬の金の発見は偽りだったのだが、「和銅」とは「国産の銅」の意味であるから、当時の為政者の喜びが伝わってくるようである。それほど金属を得るということが特別視されたのだろう。
先日、ブックオフオンラインで桶谷繁雄「金属と日本人の歴史」(講談社学術文庫)を購入。
著者は冶金学の泰斗である。
梵鐘、大仏、鉄砲、日本刀など日本史のなかで冶金が大きく関わるテーマについて書かれている。
全体的にかなりラフな書き方の印象は否めない。
大仏について書こうとすればどうしても仏教についても最低限の知識が無いと語ることは難しい。
例えば鉄砲の項では長篠の戦いについて触れられているが、従説どおり武田の騎馬隊が馬防柵で停止させ一斉射撃したとしているが、最近の軍事史学ではかなり疑問が呈されている。
どちらかといえば技術史の観点からの記述が主なのでそれ以外の領域については読者が補って読む必要があるだろう。
だが簡潔に冶金学のエッセンスを学べる点で本書は大変貴重と言わなくてはならない。
冶金学の初歩的な知識無しに歴史については語れないからである。
仏教には文理を問わず往時の最新の知見が集約されていたことを考えると、
仏教を解きほぐしていくというのは時間と根気の要る作業であり、またそこに面白さも感じる。
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