医療にたかるな 小さな後輩達へ
- 作者: 村上智彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/03/01
- メディア: 単行本
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村上スキーム―地域医療再生の方程式 夕張/医療/教育 (HS/エイチエス)
- 作者: 村上智彦,三井貴之
- 出版社/メーカー: エイチエス
- 発売日: 2010/06/29
- メディア: 単行本
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購入する本の95パーセントは古書である。
時々、よほど読みたい本だけ定価で買う。
先日、久しぶりに定価で買ったのが村上智彦「医療にたかるな」(新潮新書)。
同じ著者の「村上スキーム」(エイチエス株式会社)も前後して密林の中古で購入。
村上氏は2006年に財政破綻した夕張市で地域医療の再生に取り組んでおられる医師である。
夕張というのは特殊事例ではなく、そこに行政の悪弊、既得権益、市民自身の意識の遅れというおそらく日本の地域の医療と財政を考えるうえでの必須の問題が山積し、集約していると思われるのである。
病院ではなく在宅医療を中心にし、生活感や生きがい、安心をもって病み、最後を迎えるという村上氏の目指す医療の方向性は極めて健全ではないだろうか。
かって自宅で生まれ、自宅で見取られるのが当り前の生き方だった。
いまや病院で生まれ病院で生を終えるのがごく当たり前になった。
お年寄りほど自宅と病院との環境に格差がある。
著者にはお年寄りがその違和感のなかで生命力そのものを失って亡くなっていくことへの強い悔悟がある。
よまれるべき本であると強く思った。
歳を取ると涙もろくなる。時々困ることがある。
本日も娘の付き添いで幼稚園へ。本日で5回目?
いつも1時で早退するのだが、本日は昼寝に付き合って2時半までいることにした。
昼寝の時間になるとちゃんとヒーリングミュージックらしきものが流れてくる。
ゴザを敷いて、めいめいのバスタオルを掛けて寝る。
私は寝付きの良さででは自他共に認める爆睡王であるが、
さすがに幼稚園児にまじって爆睡できるほど神経はズ太くない。
見渡すと寝転んでいるだけの子供もあれば、そのまま寝入っている子供いる。
先生に叱られながらも起きてウロウロする子供達も。
他愛のないおしゃべりをしている子供達を見ていると子供の持つ空気の柔らかさに打たれる。
新緑の出始めの境内のようだと思った。
生命感があるが、どこまでも柔らかく、瑞々しい。
10人ほどの小さなクラスなので、少しづつ名前も顔も覚えた。
1人1人の個性や家庭環境のようななものがぼんやり分かってくる。
それにしてもこの世に生を受けて僅か数年とは何という幼さだろうか。
そしてその幼い彼らがなんとも早いスピードで外界を学びつつあることか。
これからの人生は何と遠大な道のりだろうか。
これから実に1世紀に近い時間を歩んで行くのだろう。
人生の半ばを疾うに過ぎた私にくらべてなんとも長い道のりに思える。
これから彼等が出逢うで人生の出来事は1人として同じではない
嬉しいこと悲しいこと
崇高なこと卑俗なこと
心に志を満たすこともあれば心折れる傷心もあるだろう
栄光と絶望
富貴と貧困
波乱と平凡
そして同時に自分の人生の短いこととやり残しことの多さをいやでも噛みしめる。
自分がかって体験した辛いことも悲しいこともやはり彼らの前に立ちふさがるのだろうか。
そんなことをとりとめもなく考えていると急に胸が熱くなって、涙がこぼれた。
横で寝ていた一番やんちゃな男の子が不思議そうな顔をして自分のバスタオルで涙を拭いてくれた。なんとも自然な仕草で。
多分、幼い子供にとって泣くというのはとても日常的なことだからなのだろう。
小さな後輩達の人生に幸い多かれ。
一生の楽しき頃のソーダ水 富安風生
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