ネズミの好きな「般若心経」と梶山雄一「般若経」
【今日の夕空は雲が綺麗でした】
【花日記】
お寺に害を為す動物というのは数多い。
先日、兼務寺院に本堂に入ったら、置いてあった般若心経の紙が散らばっていて、
いくつかに齧った痕跡があった。
どうやらハツカネズミの仕業らしかった…
ネズミは狭い場所や空洞に巣を作る習性がある。
紙、ビニール、紐、植物の繊維などを持ち込んで巣を作る。
木魚の中は空洞になって、後ろ側に穴が開いているのだが、
般若心経の紙が木魚に開いている穴から中へ差し入れたような形になっていた。
つまりこれは…
本堂のハツカネズミが木魚の中へ巣を作ろうとした痕跡ということらしかった。
これまでイノシシや鹿の獣害に頭を痛めていたが小さなネズミにまで対策を考えないとならないとは。
数日前は明け方、ネズミの活動音が異常に大きくて眠れず。
サクサクサクサクサクサクサクサク…
ポリポリポリポリポリッポリッポリポリッ…
なんとかなりませんかね…(溜息)
- 作者: 梶山雄一
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
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日本の仏教は大乗仏教という大きなグループの流れに属する。
大乗仏教の中心思想は<空>であり、大乗仏教の経典の中心は「般若経」と呼ばれる一群の経典である。
長い歴史のなかで膨大な数の「般若経」が作られ、そのなかのひとつが日本人に馴染み深い「般若心経」である。
つまり…
大乗仏教を理解すること
<空>を理解すること
<般若経>を理解すること
この3つは密接につながっているというわけである。
ここは仏教を理解するためのかなり大きなポイントではないだろうか。
そう考えると「般若心経」がやはり大切なお経だということを改めて理解できる。
仏教や仏像などがメディアに取り上げられることが多いが「般若心経」について言及されても簡単な説明と現代語訳だけというのが多い。
もう一歩も二歩も踏み込んでほしいところ…
と思っていたら、梶山雄一「般若経」(中公新書)という本にめぐりあった。
同じ著者の「空入門」(春秋社)も良いと思うが、私は中公新書のほうを断然おススメする。
「般若経」の成立と展開を軸に大乗仏教が概観できるようになっていて久しぶりに楽しい読書を満喫している。
- 作者: 梶山雄一
- 出版社/メーカー: 春秋社
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- メディア: 単行本
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<般若>とは<智慧>のことである。
つまり「般若経」は<般若>について書かれたお経ということになる。
- 作者: 梶山雄一
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その「般若経」のなかでも最も古いもののひとつが「八千頌般若経」である。
(<頌>は言葉の長さの単位。)
「八千頌般若経」に始まる「般若経」をめぐるお経の流れはいくつかにわかれた。
そのひとつはより大部になる方向性であり前者としては「十万頌般若経」があり、もうひとつの方向性はシンプルになっていくことだったという。
そのシンプル化の方向に生まれたのが300字に満たない「般若心経」であったらしい。
- 作者: 松長有慶
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真言宗の各本山では朝夕のお勤めで「理趣経」が読経され、真言宗の葬儀でも「理趣経」の読経が大切な役割を果たす。
実は「般若経」をめぐる3番目の方向性が<密教化>という方向性であったらしい。
「般若経」の一群がいくつかの方向性を持って発展し、そのひとつが「般若心経」であり、真言宗の根本経典である「理趣経」も「般若経」という巨大な流れのひとつの支流だった…
私などはそんな経緯をとても興味深く感じるし、本当なら檀家さんにも話したいところだだがどうもこの面白さを共有できそうにない。
というわけでこのブログに書いて心を収めることにした。
梶山氏の「般若経」は本当に素晴らしい本で、それにくらべれば私の理解しているところなど聞き齧ったネズミレベルといえなくもない…
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