老いたサイが死ぬ前にすること

 



【境内の積雪は約30センチ。ただ地温が高くなっているせいか溶けるのは早い見込み】



今月の「月刊住職」に興味深いエピソードが載っていましたのでご紹介致します。


筆者は酒井大岳師、曹洞宗のご住職である。

「人心が変わった世に何を説くべきか」という記事からの引用。 (<「月刊住職」NO183 2014年2月号)


どえらい体験があったものです。仏教を伝える、ということに関して、これだけはどうしても話さないわけにはいきません。
ネパールのとあるジャングルの中で、私は不思議なものを発見したのです。直径三、四メートルの、すり鉢状の穴が、あつちにも、こっちにも、点在していたではありませんか。案内人のシェルパに聞くと、彼はこう答えました。
「これは、死期のせまった老いたサイが作った穴です。水が溜まっているから落ちると大変です」
「墓ですか?」
「いえ、ちがいます。飲み水を溜めておくために作りました。サイは歳を取って死ぬ時期が近づいてくると、雨の中で、横にした体をぐるぐる回転させて水溜めを作ります。子供のサイや孫のサイを集めて、みんなの見ている前で泥だらけになって水溜めの作り方を教えるのですよ。そのおかげでサイの子孫は乾期でも水を飲むことができるます。このジャングルは横長ですが、その長さは八十キロもあります。九月から四月ごろまで約八カ月間が乾期で、その間は雨が一滴も降りませんそのために死んでいく動物が多いのですガ、サイの一族は水溜めにたっぷりありますから生きのびられるのです」
「水は蒸発しないのですか」
「はい。土が粘土質ですし、落ち葉が水の上をふさいでくれますので、なんとか長持ちします。サイたちは偉いのですよ。他の動物がこの水を飲んでもけっして怒らないで遠くのほうで見ています。怒ると戦いがはじまりますね。だから、戦うよりは水をあげたほうがいいと、サイは考えているのです。人間は『これはオレのものだ』と言って怒るから戦争になるのです。サイに学ばないといけません」
(中略)
「それからですね、この水溜めを作ったあと、サイは一週間以内に必ず死ぬのです。どこからも見えない草深い所に行って、ひとりで静かに息を引き取ります。偉いでしょ。死ぬ前に立派な仕事を子孫に伝えて、知らない間に身を隠してしまうなんて、見事だとは思いませんか。水溜めの作り方をしっかり見届けたサイの子孫たhしは、自分の番が来ると、またこれを次の世代に伝えます。だからサイは何万年も生き続けているのです。サカイ先生、このことすばらしいでしょ。日本に帰ったら、この話、みんなにしてあげてください。お願いします。大事なことは永遠に伝えないといけません」




【私も気の利いた法語を作ってみたいものです。写真は「月刊住職」2月号より】

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