心はどこにあるか 奇才と盆栽

 






心臓移植に関する興味深いエピソードを聞いた。



心臓移植を行った女性が手術後まもなくビールを飲みたくてしかたがないようになった。


その女性は全くお酒が飲めなかったのに。



移植された心臓のドナーはビールが大好物だった…



高等教育を受けず文章書くことに全く関心のなかった男性が心臓移植後に突如として詩を書き始めた。


移植された心臓のドナーは詩を書くのが趣味だった…



心は脳にあると考えられているが、こういう話を聞くと改めて心というのは不思議な存在だと思わずにはいられない。



よくわかる東洋医学考根論

よくわかる東洋医学考根論



先日、NHKの文化講演会で田中保郎氏の講演を聞いた。



まず強烈な長崎弁に圧倒され、



そこから立ち上る情熱が伝わってきた。


田中氏の書かれた「考根論」は古書で高値がついていたので山中伊知郎『「心の病」は腸を診れば治る!?』を密林の古書にて購入。






西洋医学では症状と病巣が一致している医学である。



眼に問題があれば眼を処置し、
皮膚に問題があれば皮膚に処置を行う。



極めて明瞭であり、数多くの人命を救い、人々を疾病から解放してきたのも事実である。



その一方で現代医学で治らない、治りにくいとされる数多くの病がある。



うつなどの心の病、花粉症、アトピー、ガン…



病気の中には症状と病巣が一致しないものがあるのではないか?



という疑問から出発して外科医でありながら東洋医学と西洋医学の併用に行き着いて漢方などの東洋医学を取り入れた治療で大きな成果をあげておられる。





東洋医学は内臓を重視する医学である。



中医師は特に腸の存在を重視される。






近世の日本の漢方では腹診という腹部の診察が発達を遂げた。



腸に心があるというと一見、突飛な印象を受けるが田中医師の試みは近世以来の日本の漢方医学の復興という側面を持っている。



中医師は盆栽を例に挙げる。



盆栽の葉が枯れたとしたら、その原因はどこにあるか?


もちろん葉に原因のある場合もあるが、根にも原因があるのではないだろうか?と田中医師は言う。


根腐れという言葉があるが、園芸の専門家によれば植物が枯れる原因の多くは水のやりすぎと肥料のやりすぎであるという。




鍼灸医学に巨大な足跡を残した澤田健は五臓発電所であり、脳は変電所にすぎないと述べている。



澤田氏のこの言葉に出会ってかなり長い時間がたってから動物の進化について書かれたものを読んだときに科学雑誌腔腸動物の解説を読んだ時に腔腸動物のような原始的生物とはいわば腸を中心とした内臓だけでできた生き物であるということに気がついた。



意識の深層には内臓感覚があるのではないか…とその時思ったのである。



そのことは人間が大脳を中心とした高度な意識を発達させた現在でも意味を持っているのではないだろうか。



精神的ストレスから胃潰瘍や大腸過敏症になることは知られているがこれも大いに関係がありそうである。



中医師もこのことに言及されていて、我が意を得たりと嬉しくなった。


田中氏の論旨には残念ながらかなり飛躍があって全てを受け入れるのは難しいが、心の病を始めとして多くの問題に古くて新しいアプローチをされている田中氏に敬意と賛同を感じずにはいられない。




Youtubeに田中氏の講演がアップされていますのでお閑な方は御覧ください。



さて、私達の心は一体どこにあるのであろうか?




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