蝉しぐれ 偉大なる学徒の誘い
昨日も娘を寝かせるための創作昔話を語っていたら途中で不覚にも寝てしまう…
おかげで朝4時頃眼が覚めた。
薄明かりがさしてきたと思ったら、殆ど同時に蝉しぐれが聞え始めた。ヒグラシが主だが他の種類の蝉も混じっていた。明るさに反応して鳴いているらしい。夕暮れにヒグラシが鳴くのも同じように明るさが関係しているのだろうか。
布団の中で穏やかな雨の降るようなセミの声を聞いていると、体全体が蝉の鳴き声に包み込まれるようだった。不思議なような、嬉しいような気持ちになった。
昔見た「蝉しぐれ」という時代劇を思い出した。
境内に出てみると、朝の風が涼しくて意持ちよかった。
山門の前に川が流れているが、川の中にだけうっすらと朝もやが残っていたのも面白かった。
- 作者: 中村元
- 出版社/メーカー: 東京書籍
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阿弥陀如来の御朱印に「無量殿」と書かせて頂いているが、
本尊が阿弥陀如来である場合、「無量殿」という朱印は大変に多いようである。
数ある浄土経典のなかでも「阿弥陀経」「大無量寿経」「観無量寿経」は浄土三部経と呼ばれ重用されてきた。
日本では親鸞の「悪人正機説」が著名であるが、この場合悪人とは凡夫そのもののことを指すという。
昔は悪いことをした人間から先に救われると誤解したものもいたというが、それはどう考えてもおかしい。
やはり「自分のなかの“悪”を自覚できた人」=「善人」のほうが救いの対象となるべきだろう。
「観無量寿経」には八十億劫という無限に近い時間をかけて償うような罪も許されると書かれてあるようである。
これなら相当の悪人でも救われることになる…
かとおもうと「大無量寿経」には重罪である五逆については救済の例外になっている。
つまり阿弥陀の救いも特に重い罪については救済することはできないということであるらしい。
ちなみに五逆とは(1)母を殺すこと(2)父を殺すこと(3)聖者を殺すこと(4)仏の身体を傷つけて出血させること(5)教団の和合一致を破戒し分裂させること
(5)の項があるということは…
浄土経を根本経典として頂く教団で分裂しているところは非常にまずいのではないだろうか…(笑)
このシリーズは全7巻で大乗仏典の主要な経典についての解説と抄訳が載せられている。
このシリーズのもとになったのは1987年に東京書籍から出された『こころを読む』という全7巻である。
1、2巻が原始仏教にあてられ、3巻から7巻では主要な大乗仏典について述べられていた。その3〜7巻を加筆修再編集したのが『現代語訳大乗仏教』全7巻である。
『こころを読む』の1,2巻は1冊にまとめられ「原始仏典」(ちくま学芸文庫)として上梓されていることが分かったのでこちらも密林の古書で購入したがやはり大変に良い本だと思う。
いきなり岩波書店の「スッタニーパ」を読むよりはこちらのほうが断然分かりやすい。
釈尊は2500年前にインドという異国で活動された方であるから文化的な差異を補う必要があるからである。
中村先生は生涯に1500余りの論文を書かれたとされ仏教研究に巨大な業績を残された方である。
『こころを読む』のもとになったのはNHKのラジオ、テレビでの講義であり全体に平明で分かりやすいことも大変素晴らしい。
ただ全体を通して感じるのはこの偉大な仏教研究の学徒は大乗仏教よりも原始仏教、なかでも釈尊に深く帰依しておられたということである。
はっきりとは書かれていないが密教などはある種の呪術に近いものと考えられていいたのではないだろうか。そんな気がしてちょっと残念なのである。
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