NHK「ペリリュー島 狂気の戦闘」補遺
「ペリリュー島 狂気の戦闘」では当時の様子を伝えるカラーフィルム多用されており、映像史料として極めて貴重である。
火炎放射器を搭載した装甲車の映像は衝撃的であった。
100メートル以上の遠距離から火炎を浴びせられれば日本兵は太刀打ちできなかったにちがいない。
但し、史料が貴重だからといって、製作された番組の伝ていることが必ずしも正しいとは限らない。
史料は事実でもそれらを編集して得られるのはひとつの『物語』であって、事実とイコールではない。
6分48秒頃、動画では日本兵が海兵隊のペニスを口に押し込んだ…という米兵の証言を伝える。この特集ではNHKの日本人の蛮行があまりに強調されすぎている気がする。
映像では編集されているのでよくわからないが、日本兵は両手を挙げて投降しようとしているところを撃たれているようにも見えるのだが。
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しばらく前に「技術戦としての第二次世界大戦」を読んでいたら、気になる記述があった。
サイパン島で日本軍2万8000人が戦死し、1150人が捕虜(うち半数が軍属)が生じたことはあり得るが、ペリリュー島では1万人が戦死し、捕虜が22人しかないというのは異常である。アメリカ軍は負傷者と投降者を悉く殺してしまった可能性があるというのである。それが事実なら恐ろしい。
動画10:58分頃、水中から日本兵の遺体が引き上げられ、所持品を調べられた後、遺体は投棄される。
「引き上げられた日本兵の死体から持ち物が調べられる…」というナレーションが流れるが、もし遺体の所持品にピストル、短剣、軍旗、日本刀などがあればそれは兵士の素敵なお土産となる…とナレーションを付け加えるべきである。遺体から金歯が抜き取られることもあった。
毎年のようにアメリカから日本に日本兵士の遺品がもたらされ、それが遺族に返還されることが美談のように報じられるが、それらの大半はこうした戦利品=<兵士が死体から略奪した物品>なのである。
NHKは正確には伝えていない。
もし死体を冒涜することを非とするなら日本軍兵士の遺体自体が土産物となった事実を知らせるべきである。
ぞっとするようなお土産がアメリカ兵の間で盛行したのである。
やや話題がそれるが「インディアンが頭の皮をはぐ」と一般に信じられているが
もともと白人がインディアンの頭の皮をはいだことへの報復であるともいわれる。
頭の皮をはいだのは白人なのである。
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徳田八朗衛氏の「間に合った兵器」「間に合わなかった兵器」(光人社NF文庫)を興味深く読んでいる。
技術戦史、防衛工学について書かれていて、戦争の帰趨を決する兵器の運用と開発が具体的事例を取り上げて論じられている。
兵器の開発と運用はその国の製造技術の水準だけでなく、運用や政策という人的要素にも大きく左右されることが分かる。日本の兵器として零戦や戦艦大和だけを取り上げると印象を誤る。例えば国産の自動車は故障が多く、供出されたアメリカ車が与えられると兵士は泣いて喜んだという。日本の工業水準も、兵器の運用開発への先見性も多いに欠陥のあったことは認めざるを得ない。
アメリカの科学的兵器に無力だった日本軍…というのはNHKが第二次大戦を取り上げるときの定石であるが、科学技術において勝る国が高い道徳や精神性を持ち合わせているわけではないし、科学力や生産力の劣ることが道徳の低さにつながるわけでもないという単純な事実がNHKには理解できないように感じる。
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