台風 護摩法要 幻想ギネコクラシー
台風一過である。
境内の川の水が随分と濁っているのを見て老僧が「境内の奥が抜けたにちがいない」と怖い言う。(「抜けた」とは大規模な崩落のこと)
心配になって見回りにいくが大きな崩落は無かったので一安心である。
川の流れをよく見ると濁っているのは堰堤から下流であることに気がついた。
堰堤の内側に随分と土砂が堆積していたが、今回の雨で攪拌されて下流に流れ出したようだった。
【川のなかに大量の土砂が堆積してその中にもうひとつの川ができていた】
本日は月参り1件。
このお宅では仏壇の上に西国観音霊場の御影(おみえ)を集めた額が掲げられている。
西国観音霊場で結縁開帳が行われた時に御影を集められたのだが、請われて額の題字を書かせて頂いた。今よりさらに輪を掛けて字が下手な頃だったのでこのお宅に行って自分の題字を書いた額を見るたびに少し憂鬱になる。
月参りを終えて帰りがけに部屋の隅のガラスケースにトロフィーのようなものがたくさん置いてあるのに気がついた。よく見てみると、そのお宅の娘さんが書道展で入賞された時のものだった。
達筆なお嬢さんに私の下手な字をみられているかと思うと気分はますますブルーになった…
法要の開始は午後7時。
陽が暮れ辺りが暗くなってから炉に火が入ると境内は荘厳な雰囲気に包まれる。
燃えあがる護摩の火炎を観ているといつも感じるのは、火炎のなかには人の心を癒してくれる穏やかな優しい力と煩悩を消尽し私達を叱咤激励してくれるような激しく力強い力という2つのエネルギーが同時に存在していることである。
そのことは天地自然の偉大さや、神仏の深遠さにつながっているのではないだろうか。
護摩法要では不動明王が主尊となることが多いが、不動明王は火炎を光背として背負われている。その激しい憤怒の形相の奥には私達衆生への温かな慈愛があると思うのである。
そんなことを考えながら檀信徒の方からお預かりした護摩木を炉に焚いているとこの法要に出仕させて頂いて有り難いという思いが湧いてきた。
体調は随分回復して座って読経するのは問題ないが護摩法要の間、立ったまま般若心経を繰り返し唱えていると息が上がった。まだ少し回復していないようである。お盆までに完治せねば。
- 作者: 沙村広明
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- 発売日: 2014/03/26
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密林で沙村広明の短編集「幻想ギネコクラシー」の古書を衝動買い。
ジャケットのイラストにとても惹かれたのとレビューで激賞されていたからである。
レビューはちょっと褒めすぎか?収められた作品全部が良いとは感じなかったが、「鳳梨娘」「楽園からのハッピーバースデー」「かまくりあん」「イヴァン・ゴーリエ」などの作品はとても良かった。
圧巻は「イヴァン・ゴーリエ」。どこかで読んだことがあるなと思ったら私の好きな谷崎潤一郎の「刺青」へのオマージュ的作品であると後書きに書いてあった。
- 作者: 谷崎潤一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1969/08/05
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作者は谷崎潤一郎の「刺青」、「少将滋幹の母」が好きらしい。(「刺青」は漫画化もしているとのこと)。私は「母を恋ふる記」が好きだが。
ギネコクラシー(gynecocracy)というのは女性上位、女権政治のことであるらしい。作者には女性について独特の感覚があってそれも魅力のひとつであると思う。さらに星新一などの王道的SFセンス、星野宣之の伝奇性や絵画性などなどが絶妙にミックスされている気がする。
表紙のイラストにもちゃんと意味があって全体を読むと意味が分かるようにできていた。
蒸し暑い1日だったがこういう日ほど夕方の空が綺麗である。
明日も暑くなりそう…皆様ご自愛ください。
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