城塞戦の話
本日も温かく穏やかな1日。
年中行事もなく静かに過ごす。
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正月の読書三昧用に密林で購入した「戦国合戦大全(下巻)」。
信長、秀吉、家康を始めとする諸大名の合戦が取り上げれている(やや信長の比重が大きい)
過去に刊行された<歴史群像シリーズ>から図版その他を引用し、戦国時代のダイジェスト版的な読み応えがある。
上下巻あるが内容的には下巻のほうが充実しているように思う。
学研の歴史群像シリーズを初めて買う方などこの1冊が好適であろう。
- 作者: NHK出版,三谷幸喜,NHKドラマ制作班
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「戦国大全(下巻)」でも復元イラストで真田丸の攻防についての考察が書かれているが、真田丸の建造は西洋の築城術を参考にしたのではないかというのが執筆者の意見で興味ある指摘である。
この真田丸は臨時的に作られた城郭であるが、その構造や機能や実に巧みである。
正面からの攻勢は深い堀にさえぎられ、堀に落ちた敵兵は真田丸からの銃火にさらされる。真田丸の側面からの攻撃は真田丸と大阪城本体からの交差する火網に捕らえられる。
大河ドラマでも真田丸での攻防がクライマックスになるはずであるが、テレビや映画などの映像は城塞の構造がいかに帰趨に影響したかということが實に分かりにくい。
近代的な城塞戦の先駆けとなった日露戦争の旅順攻略を描いた「二百三高地」「坂の上の雲」でも局所的な戦闘については迫真の描写があるが、城塞の構造については殆ど分からない。
「バンド・オブ・ブラザーズ」の続編で太平洋での戦闘を描いた「ザ・パシフィック」でも特に激戦となったペリリュー島での戦闘は塹壕型の陣地を根拠とする日本軍とアメリカ軍の戦闘によって莫大な死傷者が出たが、日本軍陣地の構造については触れられていないのが残念である。
旅順に存在していたのは堅固に構築された多数の堡塁、塹壕のネットワークであり(203高地もその一角に過ぎない)、当時の最新兵器であった機関銃と組み合わされることによって死傷者が激増した。また旅順要塞群のコンドラチェンコ中将は要塞建築の権威であったことも日本が苦戦を強いられた要因であったとされる。
【旅順攻略について要領よくまとめられています】
司馬遼太郎の「阪の上の雲」では乃木希典が暗愚な指揮官として描かれている印象がある
が旅順の要塞の堅固さを考慮するとやや偏見があるのではないかと思わざるを得ない。
旅順の中心となったのは松樹山堡塁、二龍山堡塁、東鶏冠山堡塁の3つであるがこれら堡塁の具体的な構造を示した写真や資料はなかなか眼にすることがない。
日露戦争―陸海軍、進撃と苦闘の五百日 (歴史群像シリーズ 24)
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激闘旅順・奉天―日露戦争陸軍"戦捷"の要諦 (歴史群像シリーズ (59))
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さすがというべきか学研の歴史群像シリーズの「日露戦争 陸海軍、進撃と苦闘の五百日」「激闘旅順・奉天」には旅順要塞群の中心となった二龍山堡塁、東鶏冠山堡塁の復元図が掲載されていて大いに参考になる。
【東鶏冠山堡塁・砲台網 香川元太郎氏のイラストが素晴らしい】
明治38年(1905年)の正月、1月1日に旅順要塞司令官ステッセルは軍使を派遣して降伏の信書を日本側に送り翌日2日、戦闘が停止された。今から実に111年前のことである。
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