供養ネギ1把
数ヶ月、鹿の姿が減り、イノシシの気配を感じるようになっていた。これは今年がタケノコの不作と関係がるという方もあるがはたしてどうなのだろうか。
それがここへきてまた鹿を多く見かけるようになった。
10日ほど前には夜半に門前の駐車場から境内に隣接する鹿原公園にかけて僅か数分車を走らせただけで実に8匹もの鹿を見かけた。一時に8匹は最高記録である。いくら「鹿原公園」でもちょっと多過ぎである…
本日は兼務寺院である多禰寺へ留守番に。
麓の集落のあたりを過ぎたところで路上に動物の死骸を見かけた。
車を近づけて見ると猿である。
イノシシが車に当てられて死んでいるのを時折見かけるが猿の死骸は珍しい。
通りすぎてから車にコンテナとスコップを積んでいたことを思いだした。
猿というのは人間に近い姿形をしているのでやはり放置するのはしのびないものがある。
車を降りて歩いていくと路上に点々と長ネギが落ちていた。道路の横にネギ畑があるが、猿はネギを食べにきて車に轢かれたらしい。猿が車を避けられないとは考えにくいので案外面白半分に車で轢いた輩がいるのかもしれない。
かくいう私もあまりに猿が傍若無人だと「車で轢いてやろうか!」みたいな衝動にかられることがあるくらいである。そんな気持ちが分からないではない。
猿の体はまだ温かかった。性別は不明。人間で言えば20代〜30代くらいであろうか。
猿の死骸をコンテナに入れて後部座席に積み、走り出してからふと気になった。
猿は本当に死んでいるのだろうか…出血も殆どないし、もしかして脳震盪をおこしているだけなのではないだろうか。
以前、路上にカラスが倒れていて、近づいたら突然ガバッと起き上がって飛んでいったことがある。
猿が車のなかで突如眼を覚まして暴れたらどうしよう!
猿の行動パターンだと相手の喉に噛み付くというのがあるが、運転している背後から喉元に噛み付かれたら…
「ゴッドファーザー」で車の後部座席から助手席に座っている人間の首を絞めて殺すシーンが思いだされた。
急にチキン野郎である。
とりあえずパーカーのフードをかぶって防御のつもり…
幸い?猿は復活することなく、境内の片隅に埋葬することができた。
路上に落ちていたネギを1把を一緒に埋めた。ささやかな供養のつもり。
ネギというのは匂いの強い植物で猿に齧られたところから独特の匂いが立ち上ってきた。
埋葬されたネアンデルタール人と一緒に花粉が発見され、ネアンデルタール人が花を添えて埋葬していたのではないかという説を思い出した。
ネアンデルタール人は本当に花を供えたのだろうか。
その花は案外食用の花であったかもしれない、或いは遺体の腐臭を消すためであったかもしれない。それとも動物に遺体を盗られないための対策であったか…
ふとそんなことを考えた。
当分、ネギの香りを感じると猿の顔を思い出しそうである。
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