大寒 2020年 1+1=?

 


明日は24節季の大寒。来週は強い寒波が来るという。


毎年、大寒の時期には寒波が来ているように記憶している。


それでいて境内の景色を見ていると空の色や日差しに春の気配が感じられるのが興味深い。


もう春の兆しがあるとすれば冬の底はいっだったのだろうかとも思う。






2012年のロンドンオリンピックでのパフォーマンス。

2020年にもこんな楽しい光景が見られていいのだが。日本にももっとユーモアがほしい。




和漢診療学――あたらしい漢方 (岩波新書)

和漢診療学――あたらしい漢方 (岩波新書)



昨年、体調の不良が漢方薬で治ったことから漢方について書かれたものを何冊か読んでいる。最近読んでいるのは寺澤 捷年「和漢診療学」(岩波書店)。



芍薬と甘草を合わせた芍薬甘草湯という漢方がある。


こむら返りが起こったときにこの芍薬甘草湯を飲むと即効性があるが、この薬の成分は文字通り芍薬と甘草である。ところが芍薬と甘草それだけではこむら返りをなおすことはできず2つが組み合わさることではじめて薬効が現れるという。




つまり…


1+1は2ではなく、3以上のものになることになる。



また異常な発汗と膝の関節痛を訴える女性に防已黄耆湯という漢方を処方したところ即効で効いたというエピソードが載っている。


発汗と膝の痛みという一見関係のなさそうな症状に関連性があることは『金匱要略』という1800年以上前の漢方の古典に記述があるという。


通常なら著しい発汗は更年期障害と診断され、膝痛は整形外科での治療と分かれるものをひとつに捉えるという知見は面白い。


この場合1+1は2ではなく1(ひとつの症状)となるのかもしれない。



西洋医学のみならず科学的思考は全体は部分の総和からなることを前提としている。


言い換えると1+1が必ず2になることが前提である。それに対して漢方という東洋的な発想では必ずしもそうではない。著者が繰り返し説くのは人間の体は部品の寄せ集めではないということである。


様々な植物に薬効があることは知られているが、それらが2つ、3つと組み合わせられた時には無限に近い配合が生まれる。その無限に近いバリエーションのなかから人間に有益なものを見出してきたのが漢方薬である。


そのなかには現代にも有益なものが数多く含まれている。惜しむらくはいろいろな理由で漢方と西洋医学を併用するという考えがまだ広く受け入れられていないことである。


人間の体は部品の寄せ集めではないという著者の主張には多いに共感を覚える。そうした考え方が広く受け入れられる日はやってくるのだろうか。



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