お寺のサプリメント

本山に居た頃はビタミンCの錠剤、ビール酵母エビオス」、「QPコーワゴールド」が必需品であった。

生の野菜はご法度で差し入れでもない限り果物も食べられないからビタミンCが不足する。
本山での生活になれるまでの2週間は特にきつい時期でストレスとビタミンC不足で歯茎から出血したりした。食事当番を食当(じきとう)というが、食当のとき、生のにんじんをつまみ食いするとまるでフルーツのように美味しかったのを覚えている。やはりビタミンCは必要である。

栄養に関する知識はあまりないが、菜食にするとビタミンB群が不足しがちになるようである。それを補うのにビール酵母エビオス」が役に立った。一時期、ビール酵母のブームがありこの時期、いろんな栄養素を添加した高額なビール酵母が出回ったが「エビオス」はとにかく値段が安いのでオススメである。サプリメントは安くないと続けられない。
同じくビタミンB系では「QPコーワゴールド」がお寺で人気があり「QP」という愛称で呼ばれた。これはカフェインが含まれていて夜に摂ると寝られなくなる。一度、門跡さん(本山で一番偉い人)の講義で居眠りした者が居て全員エラク怒られた…それ以来絶対寝てはならない講義の前には「QP」を摂って必死に眠気と闘った。



  菜食かつ粗食で規則正しい生活をすると身体が敏感になりいろいろな発見があった。

 サプリメントは毎日摂るより数日おきにとり、かつ1カ月のうち1週間くらいは何も摂らない時期があったほうが良いようである。毎日摂ると身体が慣れてしまう感じがした。

 もうひとつ面白いと思ったのはなぜかゴマがとても美味しく感じるのである。

 ごま油がとにかく美味しく感じられ、うどんのダシにまで入れていた。
 白ゴマも「おやつ」と呼んでよく食べていた。いまでは考えられないが…

 ゴマ豆腐は精進料理の代表格だが、こうしたゴマの料理は菜食の禅僧の身体が求めた料理だったのかもしれない。