炭を焼く
年配の農家の人の中には炭を焼いた経験のある人が多い。
昔、農家の副業といえば蚕を飼うか、炭を焼くかしかなかったからだ。
10年ほど前にお寺の敷地に炭焼き用のカマドを作ってもらった。
大人が何人も入れるくらい大きいものである。
何年も炭を焼いていなかったのだが、急に父が今年は炭を焼くと宣言したために一月前から炭焼きを手伝っている。
今日はいよいよ原木をカマドに詰め、最初の点火をした。
今日は一月の冷たい雨が一日中降っていた。
午後はカマドの口をふさぐために赤土で団子を作り続けた。
ゴム手袋と長靴からじわじわと寒さが伝わってきて、身体が芯から冷えた。
家に帰って飲んだ熱いコーヒーの美味しかったこと!
よく考えたら、炭を焼いても殆ど使い道がないのである(笑)
使うあてのない炭を焼くために延々作業している自分が可笑しくなった。
でも考えようによってはとても贅沢な時間である。スケールの大きな遊びとも思える。
これも山寺の愉しみかもしれない…