自家製梅ジャムトースト 密教は超えていく力

 


毎年、妻が梅林で採れた梅でジャムを作る。

甘さをかなり押さえて、ジャムというより梅ペーストに近い。
暑い時期にはさっぱりとして朝食にはぴったりである。

最近はトーストに薄くバターを塗って梅ジャムを載せたものと紅茶に生姜と黒砂糖とオールスパイスを入れたチャイ風の飲み物が定番の朝食である。


秘密の庫を開く―密教教典 理趣経 (仏教を読む (7))

秘密の庫を開く―密教教典 理趣経 (仏教を読む (7))


数日前に松長有慶氏の「秘密の庫を開く」を読了した。

理趣経」というのは真言宗の常用経典で葬儀、法事、法要で用いられることが多い。

本書はこの「理趣経」を一般の方向けに講義したものが収録されている。
真言宗の僧侶である私が読んでもいろいろ学ぶことが多かった。

真言=呪文とだけ解してしまうと或る人は神秘にひかれ、或る人は合理的思考によって否定しさってしまう人など様々だろう。


インドでは現在でもジャングルを歩く時に蛇に襲われないようにヒュー、ヒューと口で音を立てながら歩くことが行われているそうである。

真言というものの起源にはこうしたインドの生活文化があったように思われる。
そう考えると真言=呪文といった単純な見方では済まない。



最近、奈良博の「第62回正倉院展」の図録をパラ読みしている。

正倉院に収められた品々の筆頭に置かれているのは9つの袈裟であり、「金剛頂経」系の密教をインドから中国に伝えた金剛智三蔵の袈裟が含まれていることを考えると、古代国家の揺籃期から既に密教が一定の地歩を占めていたことが分かる。
密教というと平安時代というイメージが強いが、調べはじめ、考え始めると、密教の世界は広大である。

ただ密教には他の仏教各派に無い、生命感や肯定感を感じ心を惹かれている。



仏教の出発点は三毒(貪り、怒り、愚かさ)の否定である。

松長氏によれば<自分>というものが付きまとう小ささから抜け出せばこの三毒も肯定に転じるとされる。


<貪り>も人をもっと救おう、もっと自分を高めようという欲に転化するのであれば構わない。
<怒り>も世の中をよくしたいという怒りななら必要である。
<愚かさ>も他人の為に損得を忘れ、馬鹿のようになって働くなら多いに許される。



日本人の中にとても狭量な倫理観、道徳観のようなものを感じてがっかりすることがある。

密教にはその限界を超えるヒントがあるように思う。

そのことを知識ではなく、しっかりと自得するには私自身がまだまだ長い長い道のりを歩んでいかなければならない。
やれやれ…(溜息)


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[決定版]生きがいの創造

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