恐怖の年度末総会

 毎年、霊場会の総会が5月と12月の二回開かれる。
 各お寺の御住職が出席されて、いろんな問題を話し合ったり、意見交換を行うのである。
 最近は住職の代理で私が出席することになっている。

 2年前、初めてこの総会に参加した。
 初めて顔を逢わせるお寺の御住職方を前に緊張していると、総会開始の宣言が行われ、般若心経を皆でお唱えした。住職暦の長いお坊さんが30人近く出席されているから、大迫力の般若心経である。

 開始にあたって事務局長の御住職がにこやかにこう言われた
 「…それでは毎回、回り持ちで議長をすることになっておりますので、本日は第三番の札所の方、議長をお願いします」
 三番の札所というのはウチのお寺である!総会デビューでいきなり議長が当たるとは…

 しかたなく引き受けたが、誰が誰か分からない人間が議長になったので思い切り議事が停滞しまくってなんとか終了。後である御住職に「よく引き受けたねえ、断ると思ったけど」と笑われた。

 そして来週も年度末の総会である。
 私は内心この年度末総会を楽しみにしていたのである。
 年度末総会というのは会議の後、会食してそのまま旅館に一泊するので久しぶりに山寺を離れて、忙しかった11月の骨休めが出来ると思ったのだが…昨日、事務局代表の御住職から電話があり、今回は大きな議題もないので、若手のお坊さんの意見を聞いてみたいとのこと。

 ついては私に総会で1時間くらい若手としての抱負や希望を話してほしいというのである!
 住職歴の長い偉いお坊さん方を相手に1時間とは…参加者の中ではお坊さん暦が一番浅いということで私に白羽の矢が当たってしまったらしい。

 会議を適当に切り抜けた後は温泉→美味しい夕食→温かい布団…という楽しい夢は破れ、発表用の原稿作りをが始まった。
 果たしてどうなることやら…