鹿啼く山里  舞鶴と快慶仏

 






夕刻、玄関であまりにコオロギの鳴き声大きいので玄関の中にいるのかと思って調べるが戸外にいるらしい。





理由はよくわからないが本日は秋の虫の声がいつもより随分と大きい気がした。




台風が近いことと関係があるのかもしれない。




Yhooの予報を見たら月曜は…



『暴風雨』


激しく雨に打たれる傘の絵が載っていた。皆様ご自愛くださいませ。









日に何度となく鹿の声を聴く。



鹿の声は甲高く、長く聞えるが大抵3声で、稀に1声のときがある。




2声や4声というのはない…と思っていたら蕪村の句を見つけた。




三度啼て聞えずなりぬ鹿の声 蕪村



全くその通りという他ない句である。





秋に聴く鹿の声には肺腑に染み入るような悲しさがあるが、人間が勝手に悲しいと表現しているだけで、案外異性を求める歓喜の声だったりするかもしれない。




「ここにイケてる雄がいるぜィーーーーーー」×3



みたいな…







馬の鳴き声も鳴き声の終わりに喉から胴体にかけてをブルブルと振るわせるような音がすることがあるが、鹿の鳴き声も同じような音を聴くことがある。




大きいニホンジカは地面から角まで優に2メートルはあるものがある。




立派な雄が堂々たる体躯を震わせて啼いているのを想像すると心地よい。





ながき夜をひとりは寝じと鹿の鳴  千代女







昨年、京都古文化保存協会で文化財撮影の事業が公募されていた。




一か寺あたり仏像、建造物など5点をプロの写真家が撮影し、データをそのまま寄贈してくださるという大変ありがたい内容である。




いろいろ考えた末に兼務寺院の金剛力士像と当山の本尊波切不動明王、執金剛神、深沙大将の5体の撮影をお願いした。



1体あたり数葉の写真データを頂いたので今後の活動に生かそうと思案中である。








執金剛神の写真が気に入ったのでとりあえず広報用にポストカードでも作ろうと思ってネットを見ると随分ポストカードの制作費が安いので写真のデータをそのまま送ったら早速ダメだしのメールがきた。




『…トンボに対して四方ヌリタシ3ミリなんちゃらかんちゃらで仕上げガイドラインうんたらかんたらカンバスサイズなんとかを…』


無理っス…


制作費が安いというのはすぐ印刷できるデータを依頼者が送るから安いということらしくとりあえずキャンセル(涙)





画像ソフトというのは眼をむくほどお高いので、とりあえずフリーのグラフィクソフトを少し勉強してみることにした。先の長い話である…














先日、高野山の快慶作『執金剛神像』の像内から重源との関連を示す古文書が見つかったことが報道されていた。



その記事を読みながら当山の執金剛神のことを考えていたら、ふと思いついたことがあった。



正確な数を把握していないが快慶の手による主要な仏像は30~40体であろうと考えている。



そのうち当山に2体、さらに松尾寺に快慶作の阿弥陀如来坐像があり、由良の如意寺にも快慶作の地蔵菩薩坐像がある。如意寺は現在宮津市にあるが、往時は舞鶴と同じく田辺藩の領地である。




30〜40体ある快慶仏のうち舞鶴を中心としたエリアに4体があるというのは大変に密度が高いことになりはしないだろうか。



高野山や京都・奈良の大寺にあるのは当然としても、この丹後の雛地に快慶仏がひしめいているというのは何ゆえだろうか…これはなかなか興味深い問題だと思っている。



行政の人と話をしても舞鶴にどんな文化財があるか知らない人が多くてがっかりすることがある。



文化財というのはお寺の所有物というよりはたまたまお預かりしているという気でいるので、文化財の護持や評価に行政はもっと本腰を入れて頂きたいと思うが現実は逆の方向に進んでいるように感じる。




先日も引き揚げ記念館が4億円かけてリニューアルすることが発表された。これは第1期工事で今後もさらに改修が続くという。その1割でも文化財の護持の為に使ってくれたらと思うのだが。




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