南無メロン もっとほほえましいひと言を
本山で修行中に華道の授業があった。
私達が思い思いに花を活けると先生が公表してくださるのだが、
大きくマイナスされるのは左右対称に花を活けた場合。
「仏さんの花とちがいますえ」
と京都弁でやんわり叱られる。
一方、仏像の配置や仏具などは左右対称に置かれることが多い。
読経するときも本尊を中心にして正対するように座るのが基本である。
従って中心線がズレているというのはとても違和感があるというかムズムズする。
葬祭ホールで葬儀をすることが多いが、中央に置かれる位牌の位置がずれていたりするととても気になる。
先日、あるお宅にお参りに行ったらなぜか位牌が仏壇の端に置いてあって真ん中にメロンが置いてあった。
メロンというのはすごく存在感のある果物なので、メロンを拝んだような気分。
ものすごくモヤモヤした…
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曹洞宗の僧侶で篠原鋭一さんという方がおられる。
お坊さん専門誌「月刊住職」に毎月寄稿されていて一読居住まいをたださざるを得ないことが多い。
篠原氏は幼くしてご父君、二人のお兄さんを亡くされ厳しい運命を乗り越えて今日にいたられた。
篠原氏は自身の体験をもとに悩める人を救うという視座から真摯な活動をおこなっておられる。
篠原氏は自死を始めとする深い人生苦にあえぐ人々を救う活動を長く続けておられる。
篠原氏の書かれた「この国で自死と向き合う」「みんなに読んでほしい本当の話」を密林の古書で購入。
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みんなに読んでほしい本当の話―おしょうさんも泣いた25の生き方
- 作者: 篠原鋭一
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わたしのお寺の近所に、84歳のおばあちゃんと小学校6年生になる孫娘のいる家族が暮らしていた。
ある日おばあちゃんは、孫のM子ちゃんを連れて市内にあるスイミングスクールを尋ねた。ただしスイミングスクールに入会するのはM子ちゃんではなく、おばあちゃんのほうだ。「どうしていまになって泳ぎを覚えたいのですか」と質問したスタッフに対して、おばあちゃんはこう答えた。
「わたしは子どもの頃から水が怖くて泳いだことがありません。このままだと三途の川を渡りきれないから、泳ぎを教えてほしいのです」
なんともほほえましいおばあちゃんだが、M子ちゃんのひと言はもっとほほえましかった。
「スクールの先生。おばあちゃんが三途の川を渡りきったら、そのままUターンしてわたしのところに戻ってこられるだけの力をつけてあげてください」
なんと幸せなおばあちゃん、そしてなんと心やさしいお孫さんだろう。
わたしたちは「人と人とのつながり」という、生きていくうえでいちばん大切なものを捨て去ろうとしているのではなだろうか。
自ら命を絶つ高齢者の数を減らすためには、このおばあちゃんとM子ちゃんのように家族がおたがいを思い合う関係を、もう1度再構築することが鍵になると思う。
篠原鋭一「この国で自死を向き合う」より
最近ひしひしと実に様々な形で私たちは孤立し、つながりを絶たれつつあるように感じる。
私達はどう生きたらよいのか、僧侶として何を為すべきかと時々考える。
篠原の活動と著作はそのヒントや材料を与えてくださるように思う。
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