秘仏馬頭観音 コスプレヤー松尾芭蕉

 





本日は台風を控えて蒸し暑い。



台風の進路はそれたようなので一安心だが、爽やかな秋にはまだ少し時間がかかるようである。






【写真は馬居寺、松尾寺、中山寺馬頭観音様】





昨年、好評を博した若狭高浜舞鶴馬頭観音文化財をめぐるツアー(予約制)が今年も行われる見通し。若狭高浜観光協会まいづる広域観光公社の共催事業である。




前回は全国から申し込みが殺到したが今回も多くの申し込みがあるに違いない。




松尾寺、中山寺、馬居寺の馬頭観音様を拝観するのがメインだが、頂いた案内を見ると9月18日には中山寺馬頭観音様が拝観できるらしい。



本来なら中山寺(なかやまじ)の秘仏拝観は平成40年ごろのはずである。中山寺秘仏馬頭観音は慶派仏師によって作られた素晴らしい馬頭観音様なので必見である。見逃すのはもったいない。





中山寺HP】http://nakayamadera.jp/







読書の愉しみのひとつは密林のレビューを読むこと。



「迅速に届きました」「本がカビ臭かった」みたいなものから作品を詳細緻密に分析し、大所高所から堂々たる意見を述べたものまで実に様々だが、



最近のアタリは安田登『本当はこんなに面白い「奥の細道」』(じっぴコンパクト新書)。



タイトルだけだと入門書かキワモノっぽいが、レビューを読んで思わず「そうか!」と膝を打った。




久しぶりの爽快感である。レビューを読んだだけでこれだけアタリ感があるのだから(笑)




古典の世界には独特の雰囲気がある。


遥か昔、私が学生だった頃は「古文研究法」などといういかめしくも正統派の参考書があったのを懐かしく思いだすが、どの時代であれ、古典というの持つ、重々しさ、格調高さ、古めかしさにはどこか完結したものを感じる。




だが本書はその完結感をバリッ!と破るような面白さがある。








能は舞、謡、拍子からなるが、能の言葉(台詞)は「謡(うたい)」として独立して嗜まれた。




幕末を舞台にした落語で「胴斬り」という落語がある。



辻斬りにあまりに見事に一刀両断されたので上半身と下半身が別個に生きている男…というシュールな落語だが、確か円生の口演では辻斬りが相手を切り捨てたあと、謡を口ずさみながら去ってゆくところがひどくカッコ良かった。



そしてそして…



俳人にとっても謡は基本的な素養であったらしいのである。



今日、江戸時代の俳句を読んでもそこに謡の影を感じることはないが、案外私たちは大きな見落としをしている可能性があるということになる。



能(謡)の素養をもった人々の眼から見れば「奥の細道」の内容は能の世界観と内容がオーバーラップしてジワジワと隠し画のように別の風景が立ち上がってくる。



奥の細道とは鎮魂の旅であり怨霊化する源義経を鎮魂することをミッションとした旅であるのだという。まるでRPGのように様々な仕掛けや紆余曲折を経て旅が紡がれる。



芭蕉は旅僧の姿で旅に出るが、なぜ僧形かというとこれは西行を模しているのだという。


芭蕉が弟子の木曽良と並んで歩く旅姿の絵図はが有名だが、芭蕉が笠を前に持っているのは西行にならっているのだという。


西行崇徳院の怨霊の鎮魂をおこなったように、芭蕉義経の鎮魂を行うべく旅に出たと安田氏は読み解く。



全編、眼からウロコの連続である。



奥の細道」は中学の国語で習った記憶がある。紀行文の名文として折にふれて読んだこともあるが、著者に導かれるままに立ち上がってくる世界に思わず引き入れられてしまう。




【関連記事】http://www.the-noh.com/jp/people/essay/travel/201202.html





※《内容紹介》

中学・高校で、だれもが触れる、松尾芭蕉の不朽の名作『おくのほそ道』。
でもこの物語、実は当時の門人たちがゲーム感覚で楽しみながら読んでいた、
今でいうロールプレイングゲームのようなものだった!
当時の流行芸能であり、知識人の常識でもあった「能」を
キーワードに読み解いてみると、その実態が見えてくる。

『おくのほそ道』というロールプレイングゲームでのゲームマスター松尾芭蕉
参加するのは蕉門の人たち。
門人たちは、自分がまだ行ったことのない東北を、松尾芭蕉トークとともに旅をした。
現代のロールプレイングゲームでは、怪物の巣食うダンジョンに迷い込み、
怪物たちと遭遇するが、『おくのほそ道』では、芭蕉が実際の旅で迷ったように
人々も迷宮に迷い込み、行く先々で詩人の魂や亡き人の霊と出会う。
怪物と戦う代わりに、詩人の魂と交流をし、怨霊を鎮魂し、四季の景色を愛でて、名所を一見する。

コスプレあり、ジョブチェンジあり、パラレル・ワールドあり。
まったく新しい視点から読み直した、本当は面白い『おくのほそ道』の世界を紹介。

内田樹氏推薦】
芭蕉は現実の空間を踏破しながら、同時に物語の中も旅します。
死者たちのための物語です。『おくのほそ道』は旅日記であると同時に、
芭蕉と死者たちのあいだのひそやかな対話の記録です。
その対話の聴き手として安田登さんほど適任の人を僕は思いつきません。

【目次】
序章 RPGとして読むおくのほそ道
―パラレル・ワールド移行スイッチを探せ!攻略本は「能」!

第1章 死出の旅―ファーストステージ深川~日光
壮大なミッションに向けて、過去の自分を捨てる旅

第2章 中有の旅―セカンドステージ日光~白河
死と生の狭間で生活エネルギーを回復する旅

第3章 再生の旅―サードステージ白河~飯塚
鎮魂者へと生まれ変わっていく旅

第4章 鎮魂の旅PART1―ファイナルステージ(1)飯塚~末の松山
与えられたミッションを遂行していく旅・前編

第5章 鎮魂の旅PART2―ファイナルステージ(2)塩竈神社~平泉
与えられたミッションを遂行していく旅・後編






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