うるしの話

 

気温の高下大きく時々雨が降る。



「身体がついていきませんね」というのがお決まりの挨拶。



田植えも順調に終わったようで水の張られた田んぼというのも見ていて気持ちが良い。




山野の緑もいよいよ濃くなっている。



山道を車で走っているとウツギが目につく。



今年はなぜかピンクのウツギが多い気がする。












先日、仏像の修理の件で京都の仏師の方とお話をしていたら、仏像の接着に漆が使われているという話題になり、仏師の方が当たり前のように「漆は千年くらいは平気でもちますね」と言われた。


漆は千年持つ…その言葉が印象に残っていたので松田権六「うるしの話」を密林の中古で購入。


松田権六氏は故人だが石川県金沢市生まれ。7歳で蒔絵の修業を始め、1955年(昭和30年)には人間国宝に認定される。伝統工芸の復興に力を尽くす一方でパイロットなどで蒔絵万年筆の製作指導といった新しい蒔絵の模索も行っている。「うるしの話」で毎日出版文化賞受賞。漆工芸史に名を残す名匠として、「漆聖」とも称えられた。



うるし一筋60年というと小難しい人物を想像しがちだが文体は平易で、お金や名誉にこだわりがすくなく、心意気のある人物が感じられる。


うるしかぶれには沢蟹をつぶしたものが著効あるなどという記述もあって興味深い。


漆は千年持つというのは過小評価の部類で著者が修理を担当した韓国楽浪郡漆器は2000年余りも泥水に浸かっているような過酷な条件のもとで朽ちずに残っているものが多かったというから驚きである。



漆は元来、傷ついた漆が自身を保護するために分泌した物質に由来する。いうなれば絆創膏か包帯のようなもの。


漆の製法でもむやみの機械化するとかえって品質がおちるといった指摘もあって興味深い。


本書では漆の製造法、漆器の材料、装飾法、各地の漆芸の特色、漆について広く述べられている。


江戸時代くらいになると仏像は漆ではなく膠が使われるようになる。膠は50〜100年で接着力が失われることが多い。古い仏像のほうが耐久性があるというのも面白い。






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