アジサイ泥棒の正体

 6月といえばアジサイの季節である。雨に打たれるアジサイは趣きがあって好きである。
 花の寺の中でも一番札所の観音寺はアジサイで有名である。100種類1万株のアジサイが咲き誇るお寺である。

  【丹波あじさい寺 観音寺】http://www.tanba-ajisaidera.com/

 地元の自然文化園もアジサイ園が有名。「一目5万本」というコピーも伊達ではない。
 2ヘクタールの敷地を埋め尽くすように植えられたアジサイは圧巻である。

 【自然文化園】http://www.city.maizuru.kyoto.jp/hanamidori/bunkaen/bunkaenj.htm


 山寺の境内にもあちらこちらに30株ほどはアジサイが植えられている。ところが…

 毎年、6月初旬になってアジサイの花芽がつき始めると、何者かによっては花芽や葉が摘み取られてしまうのである。

 5年ほど前に初めて花芽の無くなったアジサイを見た時はかなりショックだった。
 私はてっきり人間の仕業だと思ってたからである。ところが、摘み取られた花芽や葉をよく観察するとどうも人間以外の生物の仕業らしいということが分かってきた。

 私はナメクジやカタツムリの仲間だと思って、今年から忌避剤を撒いたり、ナメクジの仲間が住みにくいようにアジサイの周りを下刈りしていたのである。尤も被害に逢ったアジサイにはナメクジ類特有の光沢のある這い後が無い。アジサイ寺の観音寺の御住職ならご存知かと思ってお尋ねしてもそんな被害は聞いたことがないとのお答え。だが、つい数日間になってようやく花泥棒の正体が判明した。

 それはやはり昆虫だったのである。体長は1センチほどであろうか。穀類につくコクゾウ虫の仲間に良く似ている。頭部に太い嘴のようなものがついてい て、このクチバシをアジサイの茎にさして汁液を吸っているのである。(接写に失敗しましたすいません…)

 汁液を吸うのが太い幹の部分なら問題ないが、葉の茎や花芽などの細い部分に何度もこの嘴をつきたてられると、花芽や葉の重さに耐え切れず落下してしまうのである。

 住職に尋ねると最初に被害が出てから実に十年以上正体が分からなかったことになる。

 このアジサイ泥棒の正式な名称や生態は不明だが、何とか対策を施して来年こそは満開のアジサイを楽しみたいものである…