快慶仏の親指
午前中に京都から女性の方が拝観に来られた。
年齢はまだ20代だろうか、最近は若い方が仏像に関心ももってお寺に来られることが多くなった。
拝観後、快慶作の深沙大将に特に心を動かされたとの感想を頂いた。
深砂大将様は前に踏み出した脚の親指を僅かに立てておられるがそこに「ドキドキした」とのこと。
確かにその1センチほどの空間によって仏像に動きが生まれている。
ところで「小股が切れ上がる」という言葉がある。「小股が切れ上がったイイ女」などと言ったりする。
この小股については諸説あるが、足の第2指と第3指という説があるのである。
「小股が切れ上がる」とはおそらく(深砂大将様がそうであるように)、親指が独立して浮き上がったことをさすのではないかともとれるのである。この点は興味深い。(ちなみに「小股」というのは腰の力を反映するとされていて、「小股の切れ上がった」というのは腰の力が強いという性的なニュアンスを含むという説がある)
拝観される方を案内する度に、快慶仏と向き合うのだがやっぱり…快慶様は凄いなと思う。
午後はNHKのカルチャースクールの方が団体で拝観に来られた。
こちらは講師付きの団体なので、私も横で説明を聞いて勉強させて頂いた。
快慶様の仏像は(少なくとも当山にある2体は)は横から見ると、とても分厚い印象を受ける。そして正面から見る限りは決して体が太いようには見えないのである。
正面から拝観する時に見えない、身体の厚みが、正面から見たときの圧倒的な迫力、存在感を出しているのではないかというのが講師の方の解説だったが、正に正鵠を射た説明であると思った。
快慶仏には玉眼が嵌められているが、当時の照明は灯明だったので、灯明のゆらぎによって眼が動いているように見えたかもしれないとも言われた。
薄暗い本堂で、灯明の明かりに照らされる快慶仏を見た往時の人々はどのような感想を持ったのだろうか。
正面から見た図(シャープで迫力があります。決して<太い>という印象はない)
側面からの写真(確かに腰まわりのボリュームが厚い)
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