山下和美のワールド

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【紅葉情報】境内のもみじは大半が散りつつあります。
【名物“釜炊きぜんざい”】薪を使ってお釜で炊いた地元の小豆と炭火で焼いたお餅が美味しいです。
【観音寺の大根だき】今年度は終了しました。ありがとうございます。
【門前の野菜売りのおばさん】そろそろ品薄になってきました
【金剛院ライトアップのお知らせ】本年度は終了致しました。ありがとうございました。

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【山寺の本棚】

本日は夕食前に知恵蔵でひらかれたかずぼうさんの作陶展に行ってきました。
素敵な奥様を交えて楽しいお話を伺うことが出来ました。作務衣姿のかずぼうさんは巨匠の風格でした(笑)地元の皆様も是非ご鑑賞下さいませ。※

不思議な少年(3) (モーニング KC)

不思議な少年(3) (モーニング KC)

先日、山下和美氏の「不思議な少年3」を呼んでこの人のワールドにはまってしまった。

その人の作品が存在しているという安心感にひたって作品そのものを手に取らない漫画家というのがある。例えばジョージ秋山氏の「浮浪雲」などもそのタイプである。

浮浪雲 (29) (ビッグコミックス)

浮浪雲 (29) (ビッグコミックス)

昨日は「天才柳沢教授の生活16巻」を読んだのだが、読み終えてどっぷり読後感に浸ってしまった。至福の読後感である。

山下氏の作品は言葉にも絵にもプロットにも説得力がある。
知的であり、日本的なものが限りなく削ぎ落ちた感覚を受ける。

この人の描く青年や少年の涼やかな眼元などは泉鏡花の作品に出てきそうな美しさである。
だが山下氏の作品からは異界も日本的なものもいずれも抜け落ちている。どちらかといえば日本人離れしたドライさ、洗練、知性の世界なのである。

私が大好きな<あの世>とか<異界>というのは出てこないにもかかわらずとてもファンタジックである。

これはどういうことなのだろうか?

とてもドライでカラッとした世界なのにファンタジーを感じるというのはどういうことなのだろうか…昨日から時々このことを考えていた。

人間がその心の赴くままに生きようとして意外な行動に出る時、そこのある種のファンタジーが生まれるということなのではないか?

ふとそんなふうに感じた。この人の作品を読んだ方には理解してもらえるだろう。

129話は大学のカリスマ講師の物語である。

モデルのような長身で美形のカリスマ講師の講義は立ち見の出るほどの人気である。いつも女子大生達に囲まれている。その人気講師が恋愛を感じるのは学生食堂の調理婦である。頭に三角巾を巻いて男を平気で叱り飛ばす、気の強いどちらかといえば泥臭い女性とカリスマ講師の恋愛というのは一見有り得ないように感じるのだが、そこに愛情が芽生え、恋愛が育っていくプロセスは現実を超えている。その現実を離れる感覚が正にこの作品の価値なのだろう。


133話は主人公柳沢教授の幼い孫をめぐる物語である。

勉強のできない孫が星座に興味を持っていることに気付いた柳沢教授は家族揃ってマンションの屋上で星を観測する。星を無心に仰ぐ孫の横顔がとても美しい。

「天をあおげば地球がいかに小さく我々が点にもいたらない存在であるかがわかります。
しかしそれは物理的な大きさのことです。
人間の脳内にも本来、無限大の宇宙が広がっているのです。
その宇宙をいかに広げるか。
それにはまず何かに興味を持つことです」

自分にもし孫ができたらこんなふうに語ってやることができるだろうかと考えたりする。

「奇麗事に聞こえるかもしれないが私は思うのです
人間にとって最も大事なのは
多く覚えることより、早く理解することより
まず何かに深く興味を抱き
それを愛することなのではないかと。」

山下和美氏の作品には人間の気品や、人間という存在への好奇心、人間の持つ偉大な探究心を感じることがある。
それは漫画を含めて様々なジャンルの作品から普段は感じられない貴重なものである。
そして山下和美氏こそ天才ではないかと思わずにいられないのである。
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※【告知】「かずぼう窯」作陶展開催のお知らせ

所:まいづる知恵蔵にて(舞鶴市役所隣 0773−66−1035)
時:11月27日(10〜20時)28日(9〜20時)29日(9〜19時)

多芸多才な舞鶴の風流人“かずぼう”さんとその高弟Hさんの陶芸作品の数々が一堂に会します。
普段使いの食器からアートを感じさせる作品まで多彩に展示されます。昨年もお邪魔しましたが楽しいひと時をすごすことが出来ました。

「創作古裂ぐみ」の素敵でホッとする古布アートの数々も同時に展示されます。

関心のある方は是非足をお運びください。合掌